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蜘蛛の巣
第22章 理由
「あれ〜……僕は呼ばれてないんだけど」
仲間はずれなんてひどいなぁ、と煉がわざとらしく口を尖らせる
「良かったですね、帰る必要がなくて」
和樹の口調にはどこか本気の棘が感じられる
以前なら
“ま、兄さんのこと必要としてる人なんて超レアでしょ”
くらいの軽口は叩いていたはずなのに。
「それじゃ、みんなで楽しくね」
“……!”
そう言い置いて立ち上がる瞬間、和樹から向けられた視線の中に華はどこか軽蔑のようなものを感じた
「なーんだ。メーちゃんもカズもつまんないの」
綾斗がため息をついて立ち上がると、他のメンバーも食事を終えた者はみなバラバラと席を離れ始める
「じゃあユウくん、また明日」
「あ、ああ……」
食堂を出て、分かれ道 笑顔で手を振る華に結利は頷いて返した
“ほんとに大丈夫か?”
そんな一言を掛けることさえ出来ないで–––