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蜘蛛の巣
第22章 理由
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こんな時でさえ大学の予定は狂わない
容赦なくやってくるテストの数々は、ある意味 華を深過ぎる思考の連鎖から救い出してくれていた
それでもふと、頭をよぎることがある
“こんな勉強をしても、私は……”
いずれ誰かの奥さんになって、その人の子供を産む
もし働くことが許されたとしても、最優先事項は跡継ぎだと言われるのだろう
それなら何のために–––
“別に特別何かになりたくて大学に入ったわけじゃない”
ただ親友と一緒に頑張って、どうせ頑張るなら良いところに入って。
そのくらいにしか考えていなかった
“真里枝はどうするのかな……”
もう遠くなってしまった彼女の将来を考える
自分とあまりにも違う世界を生きる彼女のことを。
“あれ…真里枝だったよね……?”
華のとめどない思考は、いつのまにか先月の祭りの日にまで還っていた