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蜘蛛の巣
第22章 理由
一瞬だけピクリと頬を動かすと、
「いいえ、ただお呼びだというだけです。夜にお話があるとのことだったでしょう?」
そう言ってさっさと先に歩き出してしまった
“そういえばそうだった……”
‘……夜になったら教えてやる’
そう言われていたことを、華の楽天的な脳みそは記憶に入れなかったらしい
華は軽くため息をついて課題の残る部屋を振り返り、仕方なく呉羽の後を追った
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「……来たか」
部屋に入るなり華はその惨状にギョッとして立ち止まってしまった
脱ぎ捨てられた服があちこちに散らばり、本人は下着一枚でソファに寝転がっている
そして呉羽は何も言うことなくその回収にあたり始めていた
「また棒立ちか。言われないと動けないやつだな」
「ぅ……すみません」
華は遥の向かいのソファに腰掛けながら、どこを見たら良いか分からず目を忙しなく動かしている