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蜘蛛の巣
第23章 淡々と、眈々と。

「……あの子、変わったよね」
「そう、かな」
ビールを片手に反対側に腰掛けた煉に、目は合わせずに返事をする
「ハハッ、なにそれ。気づかないフリしてるの?」
口元だけで笑いながら煉は壮真をじっと見ている
「遥サンのことも」
「……今あの人は何の関係もないと思うけど」
いつもは穏やかな壮真の表情は硬く、眉がはっきりと顔の中心に寄っている
「僕は自分がなかなか食えない男だと思っているけどね、キミには敵わないなぁ」
のんびりした口調と、棘のある言葉。
壮真は苛立ったようにため息をつくと立ち上がって煉を見下ろした
普通より背の高い彼が見下ろすのだから、座っている煉には相当圧が掛かっているだろう
「煉兄さんのその人を引っ掻き回して楽しむ趣味にはいい加減うんざりするよ」
吐き捨てるように言うと、壮真は近くに置いていた財布や鍵を持って海の家を出て行った

