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蜘蛛の巣
第23章 淡々と、眈々と。
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その日の夜遅く–––
用事を終えて車で帰宅した遥が、出迎えた使用人に早々に訊ねる
「あの女は?」
「華様でしたら帰られてすぐお休みに……ご気分が優れないそうで遥様にはご挨拶出来ませんと……」
それを聞いてフンと鼻を鳴らす
別に不機嫌になったわけでもなかったが、使用人は怯えて縮こまってしまった
「まぁ良い。俺ももう休む。
呉羽、着替えを持って来い」
「はい」
歩きながら指示を出した遥はそのまま部屋に入ろうと扉に手をかける
「あ、あの…遥様……」
ずっと付いて来ていた例の使用人が何かを言おうとしたが、遅かった
「おかえりなさいませ、遥“サマ”?」
「……なんでお前がここにいるんだ」
ソファにゆったりと腰掛けた男を見て遥は今度こそ不機嫌になった