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蜘蛛の巣
第23章 淡々と、眈々と。
「なんでって、帰宅のご報告ですよ。いつも来いとおっしゃってるでしょう?」
煉は当然と言うように思ってもないことを並べ立てている
「ご期待とは違う相手で申し訳ありませんが」
“ハァ…”
遥は脱いだジャケットを投げつけてやろうかと思った
「お前のそういう……」
言いかけたが、もはや続ける気力すらない
どうせコイツには何を言ったところで無意味だ
「それで、何をしに来た」
「ですから……」
「単刀直入に言え。三秒以内に終わらない内容なら聞く気はない」
「……」
煉はもったいぶるように黙り込み–––その沈黙だけで三秒過ぎてしまった
しかし追い出される気配もないのでそのまま口を開く
「彼女に何を吹き込んだんです?」
「……」
今度は遥が黙る番だった
彼の中では先日、今立っているその場所で抱いた“彼女”–––
華のことが、思い出されていた