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蜘蛛の巣
第24章 水面下
「映画の試写会チケット。貰ったんだけど日程が合わなくてね〜。
九月の平日だけど、大学生ならまだ休みでしょ?」
「えっと、ありがとうございます……このお礼はまた後でゆっくり!」
中身を見ている時間もないのか、華はチケットホルダーを受け取ると申し訳なさそうに軽く頭を下げて走っていってしまった
「お気になさらず〜」
煉は手を振ってその背を見送ると、懐から同じものをもう一つ取り出す
”さて……あの子はうまくやってくれるかねぇ”
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「お待たせしてすみません!」
そのまま駐車場まで走って来た華は、既にドア前で待機していた呉羽に大声で謝罪する
「まだ大丈夫ですから……とりあえずその息を整えてください」
セレブらしい気品も何もないその様子に呉羽はちょっと顔を顰めてから、ひとつ咳払いをした