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蜘蛛の巣
第24章 水面下
”こんなところにまで同行させて、なんのつもりだ……?”
要には遥に遭遇したこと以上に華がそこにいることの方が衝撃だった
華はこちらに気付くことなく遥と執事に頭を下げ、構内へと駆けて行く
そのまましばらく執事と話をしてから、遥も大学の中へと消えていった
「……」
アイツらが来ることはそれぞれある程度予想していた
だがまさかあの男の車で一緒に来るとは–––
コンコン
右手側から聞こえて来た音に顔を向ける要
「……っ」
そこには思わず息を詰まらせる相手が立っていた
”開けていただけますか?”
窓越しにそう指示してくるのがはっきりと分かる
そして相手が執事であっても、それを拒否する権利など自分は持ち合わせていないのだ
「こんにちは、偶然ですね」
隣に座りながらあたかも仲の良い同僚のような口調で話しかけてくる
「なんだ……あの男にでも言われて来たか」
チラリと前に目を向ければ、いつの間にかリムジンはいなくなっている