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蜘蛛の巣
第24章 水面下
「あの男、ではなく遥様でお願いしますね。要”さん”?」
「……フン」
「そしてあの方がわざわざ私をここに遣るわけがないでしょう。あの方が貴方に…まして京堂家の車に興味があるとお思いですか?」
要も呉羽もお互いに前を向いたままで、腹の探り合いだけが続いていく
「ならさっさと降りて……」
「私は、興味ありますが」
「…!?」
要は思わず呉羽の方に振り向いた
「ここで何をしていらっしゃるんです?」
ニコリと笑うその笑顔は、一見すると執事が主人に向ける完璧なソレ–––
だが普段の呉羽を思えば、きっとこれが心からの笑顔なのだろう
「早霧に害なすとみなせば即報告、か?」
「それもありますが……早霧家に仕える身としては。
でも私個人としては早霧に害を成すとしても別に構わないんですよ」
「……?」
呉羽は楽しそうな声で言葉を続ける
「私は早霧家至上主義の人間です」