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蜘蛛の巣
第1章 出逢い



「ご準備はよろしいですか?」

「は、はい。すみません」



慌てて外に出ると華の目の前にはまた卒倒しそうな光景があった



「ねえ見てあれ」

「すっげー……」

「やっぱり白河さんちは私たちとは違ったのよ」



こじんまりとした家々が立ち並ぶ住宅街に、明らかに場違いなリムジン・カー。

初めて見る上流階級の暮らしに近所の人々は無遠慮に噂し合っていた



「どうぞご乗車下さい」



ただ一人その車にぴったりな雰囲気の執事にドアを開けてもらい、華は恐る恐る中へ入る



「わ……!」



テレビでしか見たことのないような空間

細長く広いスペースに、革張りのソファー

車なのに天井からは小さなシャンデリアが吊られ、テレビは当たり前のように大画面のものが取り付けられている

真里枝の言葉を借りれば、まさに"世界が違う"

だがこれは紛れもなく自分と血の繋がった者の世界なのだ


「どこでも好きな場所にお座り下さい。あ、一番奥はこれからいらっしゃる方がお座りになられるので、そこ以外で」



"いや、そんなこと言われなくても奥までなんて行けません……!"



雰囲気に畏縮して華は入り口から一歩入ったところにちょこんと座る


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