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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ
「これとあと……ドリンクバーを」
まるで邸の使用人に頼むのと同じ要領でスマートに注文をする壮真
「慣れてるんですね」
「うん、よく来るからね」
「え!?」
華の反応に壮真は苦笑する
「華ちゃん、俺たちに夢見すぎだよ。確かに俺たちの家にはお金があるけど、俺たち自身はただの学生なんだから」
「あ、そ、そうですね……」
「普通じゃないのなんて遥くらいだけど、彼でさえ大学は行ってるしね」
あ、そうだ
「ここに来る途中でも見かけたんですけど、遥さんは車で移動するんですよね? 皆さんはどうしてるんですか?
私はこの駅から電車に乗るしかなくて……遥さんに頼むわけにもいかないし」
「ああ、確かにそれは無理だね……昨日君を乗せたこと自体驚きだよ」
「ですよね……」
「俺も含めて大体皆車かバイクだね。アーヤたちは自転車で行ってるけど、今日はたまたま遅刻しそうだから車出して欲しいって言われたんだ」
その帰りに君に会ったんだよ、と壮真は微笑む
「良かったら俺が送って行ってあげようか。電車には乗らないけど、大学行くのにここを通るから」
「そ、そんないいんですか!?」
「バイクに二人乗りで良ければ」