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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ
「神崎様の代理の方ですね。どうぞ中の駐車場の方へお止めください」
「え? はぁ、どうも」
どうやら壮真が事前に連絡してくれたらしい
警備員に誘導されて校内に車を移動する
「お二方のご様子を見に行かれますか?」
"お二方"とは綾斗と茅斗のことだろう
さすが御曹司、学校内でも扱いが違う
"まあここにいても暇だし……"
「はい、もし良かったら」
そう答えると車を降りて警備員の後をついていった
「綾斗くん頑張ってー!」
「キャー! 茅斗くんナイスサーブ!」
随分とギャラリーの多い練習試合だ
二人はその歓声の真ん中で落ち着いてラケットを構えていた
"テニスしてると顔が違うなぁ"
いつもの子供っぽさはどこへやら、二人ともキリッとした高校生らしい顔をしている
「ナイスレシーブ!」
「前々!」
「サンキュ!」
ダブルスの試合で、パートナーに呼び掛け合う声が大きく響く
だがそれは綾斗•茅斗ペアではなく、相手からのみ聞こえてくるものだった
双子は一切互いに対して声を出さずにただ黙々と自分にきた球を打ち返す