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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ



「え、誰ハナって」

「あの女の人? 学校の人じゃなくない?」



"今日は何だってこんなに女子からのキツい視線浴びなきゃいけないの!"



大勢の人じっと見られて華は泣きそうなほど赤くなる

そんな様子を見かねたのか、二人がフェンスの近くまでやって来た



「皆、ハナはただの従姉妹だよ。だからそんな顔しないで」



綾斗が華を庇うように呼び掛ける



「そう! でね、ボクたちのお嫁さ……むぐっ!」



爆弾を投下しかけた茅斗の口を綾斗が慌てて塞ぐ



「え? 従姉妹?」

「なーんだ、そっか」



女子たちは安心したように笑い合い、すみませーん、と華に謝ってまたコートに目を戻した



"ふふっ、可愛い"



好きな子に夢中になる青春女子を見て華は笑う

たった二つ年下で、ついこの前まで自分も同じ高校生だったというのに。

結婚だなんだと色々ありすぎて、まるで遠い昔のようだ



"ああ…もう戻れないんだ……"



自分だってまだ十分に若いけれど、あんな風に純粋に何かに打ち込んだりすることはきっともうないんだろう



少し感傷的な気分になりながら、華は目の前の高校生たちを見つめていたーーー


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