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蜘蛛の巣
第1章 出逢い

「あの…これからいらっしゃる方って……?」
「早霧遥様です」
"サギリハルカ……"
「早霧遥!?」
華は驚きの余り座ったばかりのソファーからまた立ち上がった
「……様」
思わず呼び捨てになったのを呉羽の咎めるような視線で慌てて付け足す
「本日は大学の方にご用事があるとのことでしたので、その送迎の途中にそちらに寄った次第です」
「あ、そっちメイン、なんですね……」
「……失礼ですが、当たり前です。私も、この車も、早霧家のものですから。今日は例外です」
「そ、そうですか……そうです、よね」
早霧遥。
その名は恐らく真里枝でさえ知っているであろう、早霧家の跡取りだ
早霧家の当主と跡取りには各家の当主と跡取りしか普通は会えない
もちろん当主には仕事があるし、プライベートは別だが正月やお盆に親戚だからといった付き合いは一切なかった
早霧家の行事はその狭いコミュニティの中で催される
だから跡取りの名前だけが伝わり、ついに早霧財閥も時代に合わせて女性を次期当主に推してきたと噂になっていた
「着くまでの間にこれからの華様の生活について再確認をしてもよろしいでしょうか」
「え? あ、はい」
「まず華様のいらっしゃる邸は各家のご子息様が集められ共同生活されている場所です。
七人もの男性と共に暮らすのは不安もおありでしょうが……」
「え?」
華は耳を疑った
「七人? 五大企業なんだから、五人じゃないんですか?」
「七人です。諸事情がありまして」

