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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ
華たちに食事が運ばれ三人が食べ始めた頃(結局余った分はじゃんけんで綾斗が食べることになった)、要が何も言わずに席を立った
「要くん、もう終わり? 相変わらず早いね」
「というか当然のように残してるし」
結利がチラッと皿を見て、いつものことだけどとため息をつく
「ほんとにこれで足りてるの?」
「ああ」
要は簡潔に答えると、物欲しそうに綾斗を見つめる茅斗に目をやった
「茅斗」
「ん?」
「俺のを食べろ」
「ホント!? やったぁ!」
ありがとメーちゃん、という茅斗にただ頷いて要は食堂を出て行った
「私がいるからかな……」
「いや、要はいつもあんなだから気にすんなって」
結利が大皿から肉を取りながら慰める
「早くしないと冷めるぞ」
「う、うん」
「ふーん」
そんなやり取りをする二人を和樹がからかうように眺めて言った
「結利、随分と華ちゃんと仲が良いみたいだね。早速何かあった?」
「ちがいま……」
「単に同い年だからだよ。むやみにそういうこと言うなって」
またムキになりかけた華を遮って結利は呆れたように言う
「なんだそっかぁ。あ、でも華ちゃんは実は……」
夕飯の間中、ずっとこんなやり取りが繰り返されていたーーー