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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ
「こちらです」
呉羽に案内されて華は邸内を移動する
"そういえば遥さんのお屋敷とは渡り廊下で繋がってるとか言ってたな……"
こんな時間に自分などに何の用だろうか
"もしかしてお父さんたちに何かあったとか?"
いや、それにしては呉羽が落ち着き過ぎている
"もしかして何かのお説教? 今日の夕飯手伝わなかったとか?"
不安すぎておかしなところまで考えが伸びる
邸の一角から長い長い廊下を抜けると、趣の全く違う、邸よりさらに格調高そうなホールへと抜けた
まるで城だ
赤絨毯の敷かれた大階段は中央の踊り場まで伸び、そこから更に左右に別れて二階へと続いている
呉羽がそこを上がってゆくので華もおそるおそる絨毯を踏み締めながら後を歩いた
「こちらでお待ちです」
一つの大きな扉の前で呉羽は立ち止まり、深々と頭を下げた
「では、私はこれで」
「え、ちょ……」
"……"
またおいてけぼりにされた
昨日も今日も、呉羽はカーナビのように目的地周辺で案内を終了する
本当に必要なのはこれからだというのに。