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蜘蛛の巣
第2章 伸ばされたショクシ



"開けていいのかな……まずはノックかな……"



小さく唾を飲み、扉をノックする



「遥さん、いますか? 華です」



ーーー



返事はない

言い方が違うのだろうか



「は、遥様……華でございます……」



真面目にそんなことを言ってから、華はこっ恥ずかしいことだったと一人で顔を赤らめる

それでもなお返事はなかった



"いないのかな……でも呉羽さんはいるって言ってたし、入ってもいいかな……"



そっとノブを捻ると、扉は古い家特有の軋んだ音立てながらも簡単に開いた

だが中は暗く、人がいる気配はない

華は顔だけ覗かせると、廊下の灯りでそこが書斎のような場所であることと、奥から光が漏れていることに気が付いた



"あそこにいるのかな"



華が一歩中に踏み入った瞬間ーーー



「ムグッ! ンー! ンー!」



バターン!



突然暗闇から伸びてきた腕に部屋に引きずり込まれ、扉が大きな音を立てて閉まった



「ンーンー!」



"誰!?"



といっても、この部屋にいるのだからそんなの一人しかいないに決まっているのだがーーー


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