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蜘蛛の巣
第1章 出逢い

「ご友人の木下様もこの大学でしたね。お二人とも大変素晴らしい……」
「え、ちょ、なんで真里枝のこと知ってるんですか?」
「分家のご子息様の花嫁候補ですから、身元周辺の調査は当然のことです」
"こっちはほとんど何も知らされてないのに……"
やっぱり古臭い男尊女卑の習慣が残っている
「そういえば華様は料理や裁縫がお得意でしたね」
「ええ、まぁ」
"どんだけ調べてるのよ……"
「邸には何人か使用人がおりますが、現在お世話になかなか手が回っておりませんでしたので丁度良かった」
使用人と同レベルでカウントされて若干腹が立つ
"でも所詮ごく一般的な家庭に育った身、当たり前の扱いよね"
周囲の変化に溜め息をこぼし華は体の力を抜いた
"気張ったって仕方ない"
だがリラックスできたのは数秒だけだった
「呉羽様、いらっしゃいました」
"え、も、もう!?"
宗家の次期当主がご登場と聞いて華は慌てて姿勢を正す
"落ち着け……相手は同い年くらいの女の子なんだし、まずは普通に笑顔で挨拶を……"
「お帰りなさいませ」
外に出て主人を出迎える呉羽の声を聞きながら深呼吸を繰り返す

