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蜘蛛の巣
第4章 穏やかな日
本当は、あまり記憶がない
遥に犯された後から、断片的にしか。
だからこそ、そんな状態で交わってしまったのが何よりも嫌だった
覚えているのは、壮真の温もりと、快感ーーー
"そんなの嫌……"
壮真が優しいからこそ身体の関係を持ってしまったことが悔やまれる
でももうどうしようもない
それに、善意でしてくれたことを、しかもそれで多少なりとも救われたのが事実であるのに、受け入れないなんてことがあっちゃいけない
そう思った華はとにかく気持ちを落ち着けようと部屋のお風呂へと向かった
「……っ」
鏡に映る自分の姿は、昨日までと何も変わらないのに。
何かが確実に変わってしまった
華はもう涙を流すことも出来ないまま、ただ湯気の立つ風呂場の中でじっとシャワーを浴びていたーーー
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"お腹すいたな……真里枝が来る前に外で何か食べようかな……"
出掛ける用意をしながらそんなことを考える
ただ問題は、どうやって駅まで行くかだ
"誰かに頼むのも嫌だし……ちょっと怖いけど橘さんに聞こう"