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蜘蛛の巣
第4章 穏やかな日

意を決してドアノブを握り扉を開く
そしてとりあえず使用人の部屋に行こうと駆け出した
"お願い、誰にも会いませんように!"
幸い今は平日の真っ昼間
こんな時間に誰かが邸にいるはずもなくーーー
「あれ、華チャン?」
背後から掛けられた声に華はビクリと足を止めた
そしてゆっくりと振り向く
「起きたんだ。大丈夫?」
そこにいたのは和服姿の、斑目煉だった
「なんか体調悪いって聞いてたから」
「あの、はい…大丈夫です……」
昨日の出来事は知られていないらしい
華はそのことにほっとしつつ、近付いてくる"男"から思わず後ずさった
「……? どうかしたの?」
彼女の様子に気が付いた煉が顔をしかめる
「な、なんでもないです! ごめんなさい!」
"やだ、失礼にも程があるよ"
自分の行為を心の中で戒め、華はにっこりと笑ってみせた
「ところであの、他の皆は?」
「要クン以外は出掛けてるよ。もう大学が始まったからね。アーヤたちは部活」
「あ、そうなんですか」
煉と要以外、特に壮真がいなかったことに胸を撫で下ろす

