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蜘蛛の巣
第4章 穏やかな日
「お待たせ~」
目の前に姿を現した、パリッとしたスーツ姿の男性に華は目を瞬く
「え……煉さん…ですよね?」
「そうですよ?」
なんだか雰囲気が全然違う
「すごい……ホストみたいでカッコいいです」
「うーん、それは褒めてるのかなぁ」
煉は笑いながら自分の車まで向かう
確かにそのスーツが煉のチャラさを一層際立たせているようだった
「どうぞ、お嬢様」
「……」
助手席のドアを開けてお辞儀をする煉に華は若干ヒいた顔を見せる
「あれ、呉羽っぽくしてみたんだけど、ダメだった?」
「カッコいいですけど……全然違います」
呉羽というか、執事には程遠い
もう何をやってもキザっぷりが目についてしまう
「クスッ…」
えー、そうかなぁ、と本気で悩むような煉を横目に華は車に乗り込みながら思わず笑った
"でも和服の方がなんか好きだな。小説家っぽくて"
「そういえば煉さんの用事ってなんですか?」
運転席に座りエンジンをかける煉に尋ねる
「お仕事。担当さんに呼び出し食らっちゃって」
「煉さんの小説、結構売れてるんですよね? どんなの書くんですか?」
「ライトノベルとか」
「え!」
「官能小説とか」
「えっ!?」
「時代小説とか」
「ええぇぇぇえ!?」