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蜘蛛の巣
第4章 穏やかな日
「今日は実家に泊まったら?」
「えっ」
「年に数回なら外泊OKだし、明日は入学式なんでしょう? だったらご両親と行った方がいいよ」
そんなこと思いつきもしなかったと華はあっけにとられる
「で、でも、明日の帰りが同じことになります」
「遥さんに送ってもらえばいいじゃない。同じ大学なんだし」
「いやです」
その提案は即却下だ
そもそも何故彼が自分と遥の大学のことを知っているのか
"双子が広めたのかな……"
「というか、普通遥さんの車に同乗するなんて不可能なんじゃないんですか?」
「そうかなぁ。壮真クンなんかはよく乗ってるけど」
「……!?」
'君を乗せたこと自体驚きだよ'
昨日壮真はそう言って遥の車には乗れないと言わなかったか
「あ、でもやっぱり彼は例外かな。僕だって一度しか乗ったことないし」
じゃあこうしよう、と煉は何かをもぞもぞと取り出し書き付ける
「これ、僕の連絡先」
渡されたそれには電話番号とメールアドレスが書いてあった
「明日終わったら連絡して。ここまで迎えに来るから」
「そんな! 煉さんだって仕事とか……」
「いいのいいの、今日はたまたま入っただけだから。大学院もあってないようなものだし。
暇だから気にしないで」
笑ってそう言うと、じゃ、と手を振って車を出してしまった