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ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人
抱えた両膝に押し当てられているから、その顔は見えなかった。だがおそらく、若い女なのだろう。スラリとした手足の白い肌と、風邪にサラリと靡く髪がそれを教えている。
思わず声を上げてしまったが、彼女の方は俺の存在に気がついている様子はない。
寝ているのだろうか。だとしたら、酒に呑まれている可能性もある。というか、若い女がこんな場所に一人で居る理由なんて、それくらいしか思い浮かばなかった。
この公園の近所には、居酒屋やスナックの入ったテナントもある。そこではコンパする大学生たちの姿を、度々見かけることがあった。
浮かれて飲み明かした挙句に、家に帰り着く前に眠ってしまった――そんな処かも、しれない。
「……」
俺は足を止め、改めて暫し観察。