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ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人
身に着けている衣服は、何処か薄汚れているようにも見えた。若者のファッションについては、知る由もない俺ではある、が。
単にダメージとは言い難いショートパンツのデニムと、色目は派手だが肩の辺りがヨレヨレのタンクトップ。それと今にも足から外れそうになっている、踵の高いサンダル。デザインはともかく、一様にくたびれて思えた。
それを眺め、俺が下した結論――
「ヨシ、ほっておこう」
それは、黙殺。すなわち、このまま行ってしまおうというものである。
最低だと思うなら、どうかご自由に。しかし幾ら肌寒いとはいえ、まさかこの時期に凍死する訳でもなかろう。仮にそうなっても、自業自得。まあ流石に、そうなる前に、目を覚ます筈だ。