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ホントの唄(仮題)
第4章 僅か、重なりゆく情景
些か語り過ぎた気がして、少し照れ臭い。当時はともかく別に今の俺にしてみれば、こんな昔話で感傷的になるのも妙だった。
とりあえず、俺は俺として今日まで生きている。そう言って胸を張ろうとすれば、今に限ってそれすらも難しくはあるのだが……。
墓参りに真を連れ出して、こんな話をした動機は他の処にある。僅かながら俺は自らの心根を晒した。それを受けて、果たしてこの真が少しはそれに倣ってくれたものか……?
ちょっとした期待を胸にしつつ、俺は真の次の反応を待った。だが、それはどうやら俺が思った展開とは異なるものになろうとしている。
「アハハハ!」
と、真は何故か嬉しそうに笑った。
「なんだよ。笑う処、あったか?」
決して気分を害した訳ではなく、単にその感情を読めずに俺はそう訊いている。
「ハハ、ごめん。でも、違うの。仲間だって思ったら、ついね」
「仲間って、なにが?」
「だって、同じじゃない? オジサンの若い時の話と今の私ってさ」
そう言ってニヤッと笑む真の顔を見て、俺は、不味ったかな、と思わず顔をしかめるのだ。