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ホントの唄(仮題)
第5章 景色は騒々しく

 その中で用を足している最中であろう、真は言った。 


「なんか、急に電球が切れてるし」


 部屋のトイレには換気口があるだけで窓はない。そういう事情なら昼間とはいえ、その個室は闇となる。


「わかったよ。スペアならある。終わったら、後で代えてやるから」


 そんなことで大騒ぎしやがって。俺は呆れ顔を浮べ、やりかけの洗濯物のところに戻ろうとした。

 だが――


「後じゃダメ。今、すぐに代えて!」


「何故だ?」


 俺は足を止めると、当然の疑問を簡潔に口にする。


「だってさぁ……その……拭く時に、困るでしょ」


「はぁ……そんなもん。とりあえず適当に拭いとけば、いいだろうが」


「ええっ、やだ!」


「やだとか言われても……」


 一体、真のヤツは俺にどうしろと言っている?


 共に暮らし始めて、既に五日目。しかし、その天真が俺を振り回しゆくのは、相変わらずの光景になりつつあった。

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