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ホントの唄(仮題)
第5章 景色は騒々しく
ともかく、そうして。
「おっ、――よし、あった」
何とか天井の照明を探り当てていた俺は、ようやく電球を交換しようとするのだが――切れた電球を手で回してソケットより外そうとした、そのタイミングであった。
「コッチも、あった」
俺は股間の辺りを、するっと撫でられた感触を覚え、期せずして背筋をゾクッとさせる。
「オ、オイ……今、触ったろ?」
「あ、うん。だって、調度いい位置にあるんだもん」
あるんだもん、じゃねーよ!
とは思いつつ、背を伸ばし直立(飽くまで身体がね)する俺の前に屈むような真との位置関係は、弥が上に男女間の奉仕的な行為を連想させるのも事実だ。
しまった。やっぱり、遊ばれてる……。
と、気づくも今更であろう。
「ふざけるな。俺は今、手が――」
緩んだ電球を落とすことを恐れ、俺は上げた手を下げることができない。その上、哀れなる四十男にとって、この姿勢を続けることは辛かった。
「うん。私のすることは気にしないで、頑張ってね」
「畜生……四十肩を、甘くみるなよ」
強張る肩口を振るわせつつ、意味不明な言葉を口走る俺。
しかし、真はそんな俺に構うことなく、更に持ち前の悪戯心を加速――というか、どう考えても困らせて喜んでるだけの様だが……。