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ホントの唄(仮題)
第5章 景色は騒々しく

 その後の展開は(あまりに馬鹿らしく)描写するに堪えないので、この密室(厳密には違うけど)に聴こえた二人の会話を以って、各自想像していただくようお願いしたい。


「な、なにをっ……コラ、ズボンを下ろすなっ!」


「だって、ここはトイレだよ」


「俺は用を足す為に、来てねーから!」


「あ、そうだっけ。じゃあ、と」


「あっ……!」


「フフ、キミ――なかなか、良い反応をしてるね」


「バ、バカ……そんなに、ギュッと握るな」


「あ、ゴメーン。じゃあ、愛でるように優しくしよう」


「強弱の問題じゃなくて……とにかく、その手を放せ、よっ!」


「ええっ、文句が多い人ね。わかった。ホラ、手は放したよ」


「ふう、まったく……」


 ――ちゅぷ。


「んっ! な、なんの感触……?」


「ちゅ……だって、手は駄目だって言うから」


「いっ――いい加減にしろっ!」



 パッ――!


 その時――回復した照明が、俺の眼前にあられもない光景を映し出していた。
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