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ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人
と、その筈だったのだが……。
「なあ――風邪ひくぞ」
俺は直後に踵を返すと、女に向けてそう声をかけていた。
それも、俺の面倒な性格による処であり、別に優しさなどというつもりはない。後日、『公園で女性死亡』なんてニュースを耳にしたなら、それこそ寝覚めが悪いというものだ。
声をかけて数秒、まだ反応は皆無。俺はため息を吐きつつ、更に近づき声の音量を上げる。
「オイ――生きてるかぁ?」
それでも、ピクリともせず。流石に心配になった俺は、恐る恐る手を伸ばす。肩を揺すって、起こそうとしたのだ。
すると――
「なっ――!?」
突如として手首をガッと掴まれて、俺は飛び上る程にビクッとした。
蘇ったゾンビさながらに、動き出した彼女の仕業。
やっぱり、ほっておけばよかった……。
俺は面倒事に関わってしまったことを、既に予感し始めている。