この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ホントの唄(仮題)
第5章 景色は騒々しく
そんな流れで質問攻めに合わされるのも、どうかと思い。ふと適当に思いつくと、今度は俺から訊ねた。
「真は今までに、真剣に付き合った男はいるのか?」
口に出してみると、妙に探ったような内容に取られはしないかと、若干の後悔が襲った。
だが、真は手を引くように、その場に立ち止まると、真剣な眼差しを俺に向ける。
「初めてだよ」
「初めて……?」
「こんな気持ちになったのは、オジサンが――初めてなの」
「え……なっ……!?」
その言葉の衝撃に驚き、狼狽する――俺。
すると、その反応を見た真は――ニヤ、と笑んだ。
「そんな風に、言って欲しいって顔してたから、さ」
あっ! 畜生、からかわれてる……。少し気を許せば、途端にコレだ。
「そんな顔、してねーよ!」
俺はその時の気恥ずかしさを、大声を張り上げて誤魔化している。