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ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人
※ ※
ガツガツ、ムシャムシャ、バクバクバク――ゴクリ。
「……」
女が何かを食する姿を、これ程までに不愉快に感じた経験は、少なくとも俺にはなかった。
ここは、牛丼屋。時間は、深夜の二時を回ろうとしている。
「ぷはっ、美味い!」
特盛の牛丼を一気に掻っ込むと、女は満足そうに満面の笑みを浮かべた。
「なあ、お前――」
ようやく話ができると、声をかける俺であったが。
「オジサン、いならいの? じゃあ、いただき」
「オ、オイ……」
女は俺の食いかけの牛丼(並盛)を奪うと、躊躇なくそれを捕食してゆく。
なんなんだ、コイツは……?
俺は間抜けにポカンと口を開け、また女の豪快すぎる食事風景を見守った。