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ホントの唄(仮題)
第6章 急かされて旅立つ
「新井の退職については、まだ保留にしている――と。この嘆願書を手にした我々に、社長はその様に言っていました」
「保留……?」
「そして、その処遇については本人と直接、話し合う予定である――とも」
「……」
どういうことだ?
「新井さん――我々には貴方のように権力を相手取るような真似は、とても無理だ。勝手なこを言うようで、申し訳なくは思っています。ですが、できれば戻っていただけないだろうか。私と同様に、多くの社員もそう望んでいます」
困惑する俺を前に、斎藤さんは最後にこう懇願しる。
それに対しては――
「少し、考えさせてください……」
とりあえず、そんな風に答えておくより他はなかった。