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ホントの唄(仮題)
第6章 急かされて旅立つ

 暫く宥めて、落ち着かせる。そして俺が改めて一連の事情を簡潔に話すと、真はこう訊ねていた。


「――で、オジサンは、どうするの?」


「どうするって、どうもできねえよ。俺は既に、退職届を提出してる身だぞ」


「だけど、戻ろうと思えば戻れそうなんでしょ?」


「うーん……それが、どうにも……」


 納得できない、と感じ。俺は腕組みをして、考え込む。


 確かに無職となって清々した気分だとは言わないが、少なくとも会社に嫌気が差していたのもまた本心だ。それを今更、復帰の可能性を示唆された処で、俺にどうしろと言うのか。斎藤さんたちの気持ちは、わからないでもないが……。

 そもそも当の俺には、その件について会社から何ら打診されてもいないのだ。にも拘わらず、外堀を埋めるような今の展開が、どうにも解せない。

 どうも一人で頭を混乱させた俺は、ふと真にこう訊いてみた。


「真は、どうしたらいいと思う?」


「そんなの、オジサンのしたいようにしなよ」


 微笑した真は、あっさりとそう答えている。
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