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ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人
だから俺は、自分の不運を呪う。無職となった俺は、明日から自分の身の振り方を熟慮する必要に迫られていた。
何処の馬の骨とも知れない空腹女子に、付き合ってやる場合ではない。
「はあ……生き返った」
大小二杯の牛丼を平らげ、とりあえず女の腹は満たされたようだ。
今度こそと思い、俺は女に訊ねる。
「お前は、何者だ?」
すると、女は何故かキョトンとした顔。
「え、そうくる? そっか、オジサンだもんね。まあ……それなら、それで」
「どういう意味だ?」
これで二度目となる「オジサン」呼ばわりに、苛立ちを覚え。俺の語気が、自然と強まる。
「そんな顔しないでよ。どうでもいいじゃん。そんな話」
舐めきったような女の態度が、否応なく俺を苛立たせた。