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ホントの唄(仮題)
第6章 急かされて旅立つ
「なあ……真」
俺が座り直すと、真もそれに向き合い話を聞こうと姿勢を正した。
「なに……オジサン?」
さっきまでの心許ない表情を潜め、真は穏やかな微笑みを浮かべる。まるで俺が何を考えているのか――それを見通しているかのように。おそらく、俺が何をどの様に決断しても、例えそれが望む形でなくとも、真は受け入れようとしているのだった。
「まあ……俺なりに、考えてはみたんだが……」
「うん……」
「やっぱり、俺たちは……その……あまりにも色々と、歳も、生き方も、考え方だって……全然、違ってるから」
「そうだね……」
「だから……お、俺は……真を……」
「私、を……?」
そっと小さく首を傾げ、真が俺の言葉を待つ。
思春期のガキだった頃のように、俺の心臓がバクバクと音を立てた。
それは、そんな刹那である。
『オジサンのしたいように――しなよ』
――――!?
真に言われたその言葉が脳裏に浮かぶと、俺の中の見えない衝動を激しく突き動かしていた。
真のホントの唄って、どんなんだろうな、とか……。
俺はそれを、いつか聴けたらいいな、とか……。
いや、どうだろう……よく、わからない……だが、それでも、このままには、できないだろ? ――って、その想いだけは、捨てられなかった。
だったら――