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ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人
こ、このアマぁ……。
ビキッ――と、血管が浮き立つ音がする。俺はまたしても、怒りの炎を燃え上がらせていた。
だが、これだけは断っておこうか。自分で言うのも何だが、俺は決して度量の狭い男ではない筈。全ては大人を舐めきっているかのような、この女のせいなのだ。不快感を隠さない俺を前にしながらも、女は平然と微笑している。
その顔つきはとてもあか抜けていて、およそ片田舎でお目にかかれるタイプではないように思わせていた。しかしながら、ここに至ってその美醜に興味などない。
「過去の話よりも、さ。明るい未来の話を、しない?」
「は?」
突然何を言い出したのかと思い、俺は言葉のみならず頭の上にも『?』を浮べた。
すると女は、甘えた声で言う。
「つまりね――これから、どうしよっか? って、相談」