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ホントの唄(仮題)
第7章 二人だけの時間に
「えいっ!」
「え? オイ、なにを――」
一気に取り乱した俺の身体は、そのバランスを大きく失っていた。それは真により突如として、胸元を強く押されていたから、であるが――ともかく、その結果。
ザブン!
俺は寄せて来た波に腰を下ろすように、派手な尻餅をついた。
「つ、冷てえ……」
俺は正しく、海に浸かった時の感想を述べている。そりゃあ、そうだ。真夏と呼ぶにはまだかなり時期尚早であるように思われる、それも夕刻。もちろん俺は、ここへ海水浴に来たつもりはなかった。
あれぇ……さっきまでのムードは、何だったのかな?
海の温度に身体を震わせながら、俺は文句ありありの顔を真に向けるのだが。
「アハハハハ!」
その当の真は、実にご機嫌に笑ってくれているではないか……。