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ホントの唄(仮題)
第7章 二人だけの時間に
その時の俺が、どう感じたかと言えば、それは「やっぱり、真はその笑顔が一番だな」なんて、当然そんな悠長なものとはなるはずもなく。
「この野郎、なにしてくれてんだよ! 風邪ひいたらどうすんだっ!」
俺は濡れた身体を震わせ、そう喚き散らした。
だが、それらの文句に、まるで構うことなく真は――
「それっ!」
「オイ――よ、よせ!」
――バシャーン!
倒れた俺に飛びつくようにして、自らも海へのダイブを慣行。
「バ、バカ……お前……」
「アハハハ! 気持ちいいっ!」
「笑ってんじゃねーよ!」
「細かいことは気にしないの! そら――口やかましい男は、こうしてやる!」
それは、無邪気を通り越して気が触れてしまったのかと思うほどに。異様なハイテンションに身を委ねた真は、言葉の勢いに任せて自らの胸に俺の顔面を押しつけ、そのまま海水の最中に沈み込んだ。