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ホントの唄(仮題)
第7章 二人だけの時間に

 く、苦しい……。


 どうして俺が、こんな想いをする必要があるのだろうか。俺は息苦しさと海水の冷たさに耐えながら、その理不尽を呪った。

 が、いつまでもそうしてたら、俺はその内に死んでしまう。些か大袈裟に危機を感じ取った俺は身体に力を込めると、真に対する反撃を試みた。


「ちょ、調子に乗ってんじゃ――ねえっ!」


 海中から頭を擡げた俺は怒りのパワーを用い、まだ絡みつくような真の身体をプロレスラーさながらに一気にリフトする。

 その瞬間、腰にぴりりとした嫌な感覚が奔った。が、興奮して満ち足りたアドレナリンにより、とりあえず誤魔化されたようである。


「さて――この娘。どう仕置きしてやろうか?」


 肩口に抱えつつ、俺がそう訊ねるが。


「きゃあ! こわーい!」


 真はそんな言葉と裏腹に、実に楽しげな顔を見せるのだった。

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