この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ホントの唄(仮題)
第7章 二人だけの時間に
く、苦しい……。
どうして俺が、こんな想いをする必要があるのだろうか。俺は息苦しさと海水の冷たさに耐えながら、その理不尽を呪った。
が、いつまでもそうしてたら、俺はその内に死んでしまう。些か大袈裟に危機を感じ取った俺は身体に力を込めると、真に対する反撃を試みた。
「ちょ、調子に乗ってんじゃ――ねえっ!」
海中から頭を擡げた俺は怒りのパワーを用い、まだ絡みつくような真の身体をプロレスラーさながらに一気にリフトする。
その瞬間、腰にぴりりとした嫌な感覚が奔った。が、興奮して満ち足りたアドレナリンにより、とりあえず誤魔化されたようである。
「さて――この娘。どう仕置きしてやろうか?」
肩口に抱えつつ、俺がそう訊ねるが。
「きゃあ! こわーい!」
真はそんな言葉と裏腹に、実に楽しげな顔を見せるのだった。