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ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人
ちょっと、冷たかったか? 思ったほど悪い娘でも、なさそうだが……。
俺は僅かながら、後ろ髪を引かれる気がしていた。
しかしながら最低限、空腹で動けなくなった状態は脱している。あれだけ元気な様子なら、俺が心配してやることもない筈。
そう思いつつも気にしてしまうのは、手を振った時の彼女の笑顔のせいだろう。
何故か、とても印象的。否、もっと正直に言えば、とても眩しかった。と言っても、決して中年のスケベ心を、顕わにしようとする訳ではない。
最初は、気がつかなかったが。彼女には、何処か人を惹きつける魅力のようなもの感じた。
「……」
そんなこと考えている内に、気がつけば俺は自宅に到着する。自宅とは言ってみたが、俺は呆然と見上げるのは平凡なアパートの建屋。
その二階の一室に、俺の孤独な生活が詰まっているのだ。