この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人
「お前……帰ったんじゃ……?」
「だって、私。ちゃんと『またね』って、言ったよ」
「いや、しかし……」
「まあ、とりあえず。話なら、中でしよっか」
「は? こ、こら――」
自分の部屋であるのも拘らず、俺は女に手を引かれるままに中へ。慌てて靴を脱ぐ拍子に、玄関の段に足を取られた。
――ドサッ!
俺は女に凭れる様にして、そのスレンダーな肢体を床に押し倒してしまう。
「いや、違うぞ――これは、ほんの弾みで」
「うん。別に、気にしないで。ていうか、さ――」
「……?」
ゴロリと仰向けになり、女は俺を見上げると――
「――いいよ」
と、言うのだった。