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ホントの唄(仮題)
第10章 想い、知らされて
やがて俺も横になり、微睡を覚え始めた時だった。
「オジサン――もう、寝た?」
と、僅かな音量でも、その声はよく通って聴こえる。
「うーん……どうした?」
「ね――少しだけ、お話しよっか」
「話って、どんな?」
「なんでもいいの。オジサンの話したい、こと」
「自分から、振っておいて……人まかせかよ」
「私が勝手なのは、今更でしょ」
「まあ、そうか……」
俺は欠伸を噛み殺したついでに、苦笑を浮かべた。
「じゃあ、そんな真に、ちょっとした質問――」
「なに?」
「お前から見た俺は――どんな存在?」
「急に変な質問だわ。なんなの、それ?」
「寝惚け、ついでだ。文句を言うなよ。例えばさ――誰かに似てるとか、そんな感じでいいから」
「オジサンに、似てる人……か?」
真はそう言って、暫し考えを巡らす。
その時、俺の頭の中では、予め一つの答えを予期していた。「お父さん」との返答は、昼間の上野さんとの会話から。もし真がそう言ってくれるのなら、俺の中に燻る妙な感情を押し込めることができそうな気がしていた。
だが――