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ホントの唄(仮題)
第10章 想い、知らされて
真の些細な思い出話に、この耳を傾け――。
「俺はチャッピーのように、頼りになんてならねーぞ」
と、言う。
「フフ――それは、そうかも。チャッピー、ごめん。こんなオジサンに似てるだなんて、言ってしまったわ」
「オイ……これ見よがしに、チャッピーに謝ってんじゃねーよ」
「アハハ! 些細なことを、気にしないの」
「チッ、全く……」
褒められたような、そうでもないような微妙な気分だ。少なくとも悪い気はしないから、そこで話が終わっても一向に構わなかったのであるが。
「別に、誰に似ている必要なんてないと思う」
「そう、なのか……?」
「オジサンは、オジサンだよ。今は私だけの、オジサンでしょ?」
真はそう言うと、寝返りを打って身体を向けると、俺の方をじっと見つめた。
「……」
俺はどう言っていいのかもわからず、黙ってその瞳を見つめ返している――だけ。