この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ホントの唄(仮題)
第11章 縋り付き、頼む
「オ、オジサン……?」
「今、いい場面なんだよ――少しだけ、黙っててくれ」
俺はそう言うと、プロ野球中継のテレビ画面に釘付けとなった。そして――
――カキーン!
そんな快音を残し――
「――ったぜ! 逆転スリーラン!」
スタンドに吸い込まれた白球に、俺は期せずしてそんな声を上げた。
俺の贔屓にしてるチームは、はっきり言ってどうにもならないくらい弱い。しかしこの日は首位を走る強豪チームを相手に、終盤でリードする絶好の展開となっていた。
「オジサンが応援してるチーム、勝てそうなの?」
「ああ、あとは――クローザー次第だ」
「クローザーって?」
「勝ち試合の最後に登場する。文字通りゲーム(試合)をクローズ(閉ざす)する、投手のことさ」
野球をほとんど知らない真に対し、俺はそんなことを語ってゆく。