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ホントの唄(仮題)
第11章 縋り付き、頼む

「オ、オジサン……?」


「今、いい場面なんだよ――少しだけ、黙っててくれ」


 俺はそう言うと、プロ野球中継のテレビ画面に釘付けとなった。そして――


 ――カキーン!


 そんな快音を残し――


「――ったぜ! 逆転スリーラン!」


 スタンドに吸い込まれた白球に、俺は期せずしてそんな声を上げた。

 俺の贔屓にしてるチームは、はっきり言ってどうにもならないくらい弱い。しかしこの日は首位を走る強豪チームを相手に、終盤でリードする絶好の展開となっていた。


「オジサンが応援してるチーム、勝てそうなの?」


「ああ、あとは――クローザー次第だ」


「クローザーって?」


「勝ち試合の最後に登場する。文字通りゲーム(試合)をクローズ(閉ざす)する、投手のことさ」


 野球をほとんど知らない真に対し、俺はそんなことを語ってゆく。

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