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ホントの唄(仮題)
第1章 一人と一人
「……」
かけてやったタオルケットもはだけて、女は無防備な寝姿を晒していた。だが昨夜のそれとは異なり、その様は俺に劣情を覚えさせてはいない。
女は口元に涎を伝わせ、何とも無邪気な顔でスヤスヤと眠り続けていた。
とりあえず、まだ寝かせておくか。
それは別に女を気遣うのではなく。自分の事情を、優先させたに過ぎない。彼女を起こして色々と問い質すにしても、まずちゃんと目覚めて混乱した頭の整理する必要があった。
――ピ。
俺はちゃぶ台の上のリモコンを手に取り、テレビを点け画面に表示された時刻を確認。
AM8:00
「ヤバい。もう、こんな時間――――って」
と、慌てたのも束の間。俺は肩の力を、カクッと緩めた。
そう、俺は今日から無職。時間の心配なら、無用だ。
『おはようございます。早速ですが、今朝は昨日衝撃が奔った、この話題から――』
「……」
調度始まったワイドショーを、俺は何となく眺めてみる。