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ホントの唄(仮題)
第12章 高崎家の人々
「――え! ――っと」
端的でありながら、急所を的確にとらえたような問いに、俺はぐっと息を詰まらせてしまう。ほんの僅か前、臆さずに、と心に秘めたものを台無しにされた気分だった。
瞬時に背中に、冷や汗が滲む。まるで封印を説かれたように、開かれたその口と目。擦れた低い声とどんよりと冷めた眼差しが、俺をじりじりと責め立てるように……。
くっそ……ここまで来て、質問一つに、なにをビビッてんだよ……。
話をするのであれば、当然こんな話にもなる。その覚悟だって、していたつもりだ。だが如何せんいきなり過ぎて、軽く頭の中身がどこかへ飛んでしまっている。どう答えるべきか、考えが纏まらない……。
と、そんな時だ。
「――!」
くいっ、と掴まれた。右腕の肘の辺りだ。そして――
「平気……」
ポツリと囁かれた吐息のような言葉が、俺の耳に届く。
ふっ……やべえ。これ以上、カッコ悪いとこ、見せらんねーよな。
背後からのエールに感謝。そして気持ちを立て直して、俺はとりあえず答えるのだ。
「齢、四十を迎え――現在の俺は、無職だ」