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ホントの唄(仮題)
第12章 高崎家の人々
と、そんな具合で。
俺の立ち位置に、ついて――少なくとも高崎家との距離感は今までと同様であると、そうはっきりと告げているのであるが……。
しかしながら、今から遡ること十九年前に造反(?)している次男坊の信頼は、地の果てまでに失墜しているらしく。一族が顔を揃えた高級料亭の奥座敷には、疑念に満ちるどんよりと濁った空気が立ち込めた。
目的が仕事にありつくことでも、金をせびることでもないなら、一体それは何の話かと、そう疑問に思った彼らに対し、それについては俺の方もその目的を説明し様がないのだから、そうなるのもある程度は仕方あるまい。
それでも、この空間を不快に感じたのは、俺を除けば――あと、もう一人であり。それまで大人しく畳の上でちんまりと正座なんてしていたのだから、本来の彼女の性質からするのなら、そろそろ限界を迎えていたとしても、まるで不思議ではなかった。
だから、その手始めとして――
「ああ、もうっ! なんっ、か――ムシャクシャする!」
顔の下半分を覆っていたマスクをずらし、真が苛立ちも顕わに立ち上がっている。