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ホントの唄(仮題)
第13章 別れは劇的ならずとも
かくして、俺は自らに科した『課題』を、一応クリアーしている。と、そう言ってしまえば語弊がある気もするが……。
何と言うべきが、正直に言って、かなり拍子抜けした感は確かに漂う。それでも終えてドッと脱力していることから、かなりの緊張状態を強いられていたのもまた確かだった。それを鑑みるに、やはり俺にとってはそれ相応の大きな『課題』である。
傍から見たのなら、二十年という月日を棚上げしたようで、愚かしく映るのかもしれない。こんな簡単なことを、妙な意地で先送りにしていた。俺の中にも、そんな想いは過る。
だが、この件に関しては、俺の中に後悔が生じてはいなかった。ここに至るまでにかかった年月は、恐らく必要だったのだと思っている。
まあ俺が、バカな息子であったろうことを、認めることは吝かではないが。そうして生きて来たからこそ形成された人格を、誰に否定される覚えも無かった。
そんな訳で、とりあえず俺の方は――。そんな想いのまま、俺は車の助手席に向かって言う。
「真――今日は付き合わせて、悪かったな」
「別にィ――いいけども」
頬杖をつき窓から景色を見ながら、真は事も無げに答えていた。