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ホントの唄(仮題)
第13章 別れは劇的ならずとも
※ ※
「ふう、疲れたー」
部屋に入るなり、真はドッとベッドに倒れ込んだ。
「オイ……」
「旅行は総じて楽しかったけれども――やっぱ、我が家が一番かな?」
とぼけた口調で、そんなことを言ってやがる。
「いつから、我が家になったんだよ」
「いいじゃん。カタいことは言いっこなし。それよりも、お腹すいたなあ。オジサン、なんか作ってよ」
「飯は外で食うから。お前を送ってく、その途中でな」
「ええ、流石に外食も飽きたよぉ。オジサンの適当な手料理が、いいなあ」
「食料がねーよ……」
「じゃあ、買ってきなよ。ふぁあ――その間、ひと寝入りさせてもらうから……」
「真、お前……」
ゴロンと俺に背を向けた真は、そのまま寝てしまおうとしている。そして、またしても己のペースに、俺を引き込むつもりのようだ。
やれやれ、と。世話が焼かせるねぇ、ホントに。
俺に残された仕事は、決して楽なものになりそうもないらしい。そんな予感を覚えつつ、とりあえず俺は頭を掻いた。