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ホントの唄(仮題)
第13章 別れは劇的ならずとも
「……」
眠ると言った言葉とは裏腹。横になって俺の方に見せた背中は、お得意のタヌキ寝入りなのだ。俺の視線を察して、実に居心地が微妙といった感じだ。
だから――
「真――こっち向けよ」
それに応じると、仕方なしにゴロリと身体の向きを変えている。
「なによ……?」
真は尖らせた唇で、そう言った。
ふう、ため息をつく。嫌だな、って思う。言いたくもないことを、こうして構えられてから、改めて口にしないとならないのだから……。
少しは俺の身にもなれよ――なんて、思わず言いそうになるが、それは言わない。
「真は、もう――ここには、いちゃいけない」
「なんで?」
「それは、わかってる筈だ」
「わかんないよ」
「だけど――お前だって、困るだろ」
「……?」